2014年7月8日火曜日

同窓会での仲直り

 
 卒業20周年を記念して中学校の同窓会が開かれるようになりました。その後5年おきにお楽しみの同窓会が開かれています。
 ちょうど10年前の同窓会の二次会での出来事です。
 仲良しの男子から「なあなあ、Nがどうしても謝りたいことがあるんやって聞いてくれる?」と、打診がありました。私はきょとんとして振り向きましたが、彼の顔を見たとたん、すぐに察しが付きました。不思議と小学6年生の時のあの光景が浮かんできたのです。
 N君はいつも明るくてやさしい男の子で、その日の放課後も楽しく一緒に私を含めたいつものグループで外遊びをしていました。その時、偶然にクラスのボス的存在だったI君が通りかかったのです。(実は私はいつもI君にはとことんいじめられていました。)I君は私たちを見つけるや鬼のような形相をして、N君に一喝「おまえ、何やっとんじゃ。M(私)と遊ぶなよ。」と、怒鳴りつけました。N君と私はしばらく目を合わせていましが、いきなり、「おまえとはもう絶対に遊んだりせんけんな。」と、捨て台詞を言って去ってしまったのです。残念なことに、それ以降全く遊ぶことも話すこともありませんでしたが、私はその時のN君のまなざしと、N君に裏切られたような辛い気持ちをはっきりと思い出していたのでした。
 仲良しの男子に連れられてきたN君は、遠慮がちに話し始めました。「最近テレビやニュースを通していじめについて考えることが多い…ドラマ・金八先生の放送を見て、自分の子どもと話していたら、Mにしたことをどうしても謝らなあかんて思うたんよ。あの時はごめん。僕は怖くてI君に逆らえんかった。勇気がなくてほんまにごめん。あの時のことをずーっと忘れられんかった。自分の子どもには、『いじめは絶対にあかん。傍観者になってもあかん。』て、言よるのに。そんなん言う資格ないって思う。どんなことがあってもMに謝りたかった。ほなけん、今日はMが来るって聞いたし、初めて同窓会に来たんよ。ほんまにごめんなさい。僕が弱かったこと許してください。」
 それを聞いて私は、彼も長い間辛かったんだと思うと申し訳なくなりました。そして、「あの時のこと、N君も辛かったんや。ごめんな。覚えてくれててありがとう。うれしい。いいお父さんしてるんやね。」と答えたように思います。N君は、満面の笑みで、「良かった。謝れた。ほんまによかった。今日は来てよかった。」って答えてくれました。
 あれから10年目の今年の同窓会にもN君は来ていました。お父さんの後を継いで立派な社長さんになられた彼は今回は仕事の話をたくさんしてくれました。長い年月を経て、また仲良くなれた気がしました。
 でも、そういう私も謝らなければならない人がいます。今のところ、会う機会がありませんが、もし会えた時、私はちゃんとごめんなさいを言えるかなあ。
 今聞けば、なんやたいしたことないって思うような幼いころの出来事ですが、二人とも気付かないうちに心の片隅に重い荷物として置いたままになってたのです。

 幼い頃の辛くて苦しい思い出を懐かしい思い出に変えてくれたN君はえらい。と、思うのです。

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